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建具とは、住宅の開口部に取り付けられる「仕切り」の総称です。
一般には戸や扉、窓として、さまざまな材質と機能を持ち、時には装飾性も兼ね備え、住空間の中で住まう人の快適さを保つ役割を果たしています。
具体的には、玄関のドアや格子戸、和室の障子や襖、窓やクローゼットの折れ戸やキッチン収納の小扉などが該当します。
「住空間と住空間をつなぐ大切な境界」が建具と言えます。
それと同時に、建物の雰囲気を決める要素の一つでもあります。


建具の歴史
建具の歴史は非常に長く、現在使用されている建具の起源は平安時代まで遡ります。
平安時代には、貴族の住居である寝殿造りの建物で遣り戸(やりど)と呼ばれる引き戸が使用されていました。
これは主に建物と外の仕切りとして使用されていた板戸ですが、時代の流れと共に住宅の内部を分割するために利用されるようになりました。
建物内部を仕切る役割を担い始めた遣り戸は、装飾や加工が施され、より快適に屋内で過ごせるような工夫がされました。
外の光を建物内に通すために白い和紙を張った明障子や、絵を書いた襖障子などが代表的です。
江戸時代になる頃には、庶民の間でも少しずつ障子や襖などの建具が広まっていきました。


明治時代になると、海外から新しい建築技術や文化が流入しました。
引き戸の他に、開き戸が屋内で使用されることが多くなり、明治末期には国内製の板ガラスが建具に取り入れられるようになります。
1950年代以降、経済的で大量生産が可能な合板のフラッシュ戸やアルミサッシ等が普及し始めました。
シンプルでモダンな建築がメジャーな現在の日本ですが、木製サッシが再評価されたり、海外で引き戸が「スライディングドア」として輸入されるなど、建具は改めて注目を集めています。
素材の違い
ドアや家具の表面に使われている素材をご存知ですか?
一般的には「無垢材(むくざい)」や「化粧合板(けしょうごうはん)」などが使用されています。
それらは一見同じ木材で作られているように見えても、実際は全く異なるものです。
「無垢材」とは、丸太から切り出した一枚板の木材のことです。
それに対して「化粧合板」はベニヤ(木材を薄くスライスしたもの)を接着剤で何枚か張り合わせ、木の模様をつけて一枚の板にしたものです。
それぞれに長所・短所があるため、どちらが絶対に良いとは言い切れませんが、各素材の特徴を理解したうえで、用途に合わせて選ぶと良いでしょう。
無垢材

【長所】
・木本来の風合いや香りが楽しめる
・部屋の湿度調整機能がある
【短所】
・価格が高い
・ひび割れや反りが発生しやすい
・経年による変色がある など
化粧合板

【長所】
・節などがなく、仕上がりがきれい
・比較的安価である
【短所】
・木の香りがしない
・経年による剥がれなどの劣化がある
開閉方式による違い
開き戸

【片開きタイプ】
1枚のドアを開閉します。
【両開きタイプ】
「親子ドア」とも呼ばれます。普段は片方だけを使い、開口を広く開けたい場合に両方のドアを開けます。
折れ戸

開けるときに扉が折れ曲がります。
開き戸の1/3の開閉スペースで取り付けることができるため、前後のスペースが狭い場所におすすめです。
引き戸

【片引きタイプ】
1枚のドアを横にスライドして開閉します。
【引違いタイプ】
2枚のドアがそれぞれ行き違いに開閉します。どちら側からでも出入りできるメリットがあります。
【引分けタイプ】
1枚のドアを両方に引き分けて開閉します。
開口を広く取りたいときに使います。
開閉方式による違い
格子戸

縦横に格子状に組まれた材木を用いた建具は、採光に優れています。
ガラス戸

枠材の内側にガラスをはめ込んだ建具です。
近年では、ガラスの代わりに割れにくいプラスチック系の素材がよく使われています。
框戸(かまちど)

扉の上下左右4辺に加工した木材を使って組み上げ、中央部にガラスや板をはめ込んだ扉です。
フラッシュ戸

骨組みに合板などを張り、表面を平らに仕上げたドアです。
一般住宅で最もよく使われている建具です。
襖戸

木で骨組みを作り、両面に紙や布を張ったものです。
主に和室で使われます。
障子

大きな木の枠に、縦横に多くの細い桟をつけ、紙を貼ったものです。
組子の入れ方や形状により、さまざまなバリエーションがあります。
主に和室で使われます。